「初めてのセックスが痛かった。」
「昔のパートナーに傷つくことを言われた。」
「気持ちよくなかったけれど、ずっと我慢してきた。」
今はもう終わったことなのに、なぜかセックスになると身体に力が入る。
また痛くなる気がする。
触れられていても、心地よさより不安の方が先に出てくる。
そんな女性もいます。
よく「身体が過去を覚えている」と表現されることがあります。
実際には、身体の中に出来事そのものが保存されているというより、過去の経験によって「また同じことが起きるかもしれない」と予測したり、似た状況で警戒しやすくなったりすると考えた方が自然です。
この記事では、過去の痛みや我慢、傷ついた経験が今の感じにくさとどうつながることがあるのか、そして過去を無理に忘れるのではなく、今の身体で違う経験を重ねていくという考え方についてお伝えします。
感じにくさ全体について知りたい方は、セックスが気持ちよくない理由|感じにくい女性の原因とはもあわせてご覧ください。
過去の経験は「また起きるかもしれない」という予測につながることがあります
過去の経験というと、大きなトラウマだけを想像する方もいるかもしれません。
でも、今のセックスへ影響する可能性があるのは、それだけではありません。
- 初めてのセックスが強く痛かった
- 十分に身体の準備ができないまま進められた
- 痛かったけれど言えなかった
- 早く終わってほしいと思いながら我慢していた
- 本当は嫌だったけれど断れなかった
こうした経験があると、次に似た場面になったとき、
「また痛いかもしれない。」
「また我慢しなければいけないかもしれない。」
と、経験をもとに先のことを予測する場合があります。
性交痛の研究では、痛みへの恐れや「また痛むかもしれない」という予測が、緊張や回避と関係するというfear-avoidance(恐怖回避)の考え方があります。
つまり、
「過去を思い出しているつもりはないのに身体に力が入る」
ということは、必ずしも不思議ではありません。
ただし、過去に嫌な経験があれば必ず感じにくくなる、という意味ではありません。
同じ経験でも、その後への影響には大きな個人差があります。
初めて痛かった経験が「また痛いかも」につながることがあります
僕がお話を伺ってきた中でも、
「初めてが痛かったので、その後も毎回ちょっと怖かったです。」
と話される女性がいます。
今のパートナーは優しい。
無理に進める人でもない。
頭ではそれが分かっている。
それでも、その場面になると、
「また痛かったらどうしよう。」
と考えてしまう。
すると、心地よさを探すよりも、痛みが来ないかを確認する方へ注意が向きやすくなります。
身体にも力が入りやすくなるかもしれません。
ここで僕は、
「昔のことだから忘れましょう。」
とは考えていません。
それよりも、今の経験と過去の経験は同じではないことを、自分自身が確かめられることの方が大切だと思っています。
痛みがある場合には、婦人科などで身体的な原因を確認することも大切です。
特に痛みが続く場合や急に強くなった場合は、「緊張のせい」と自己判断せず、医療機関へ相談してください。
傷ついた言葉が「また評価されるかも」という不安につながることもあります
過去の経験は、痛みだけではありません。
身体について言われた言葉が残っている女性もいます。
「胸が小さいね。」
「前の人はもっと……。」
そんな一言を、大切だった相手から言われた。
すると次のパートナーは何も言っていなくても、
「また同じことを思われるかもしれない。」
「見たらがっかりするかもしれない。」
と、不安になることがあります。
この場合も、「言葉が身体に刻み込まれた」と考えるより、過去の評価経験によって、今も評価される可能性を強く意識してしまうと考える方が分かりやすいと思います。
そうなるとセックス中も、
「私はどう感じている?」
ではなく、
「相手は私をどう見ている?」
へ意識が向きやすくなります。
身体を見られることへの不安については、セックスで体に自信がない女性へ|見た目の不安と感じにくさの関係でも詳しくお伝えしています。
「断れなかった経験」は、今の安心感にも関係することがあります
過去に、自分の意思を尊重してもらえなかった経験がある女性もいます。
断りたかったけれど断れなかった。
約束していた範囲を超えられた。
嫌だと伝えても止めてもらえなかった。
あるいは、自分が嫌だと言っていいことさえ分からなかった。
そうした経験があると、今の相手が違う人でも、
「本当に止まってもらえるかな。」
「嫌と言ったら機嫌が悪くならないかな。」
と警戒することがあります。
これは、本人が弱いから起こる反応ではありません。
過去の経験をもとに、危険がないか確かめようとしている可能性があります。
だから僕が施術で特に大切にしているのが、本人が選べることです。
約束していないことを勝手に進めない。
嫌だと思ったら止められる。
普通のオイルケアだけでもいい。
途中で気持ちが変わってもいい。
僕が「大丈夫だから」と決めるのではなく、本人が「ここまでは大丈夫」と選べる状態をつくる。
過去を詳しく話してもらうことより、まず今その場で、自分の意思が尊重されることを大切にしています。
感じているふりを続けると「本当はどう感じているか」を見失うことがあります
もう一つ、ご相談で出てくることがあるのが、
「気持ちいいふりをしていました。」
というお話です。
相手を傷つけたくなかった。
早く終わらせたかった。
感じない自分がおかしいと思われたくなかった。
理由は人それぞれです。
一度や二度なら、それだけで自分の感覚が分からなくなるとは言えません。
ただ、長い間、
「どう感じているか」より、
「どう反応すれば相手が安心するか」
を優先してきた場合、自分自身の感覚へ注意を向ける機会が少なくなっていることがあります。
すると、
「そもそも私は何が心地いいんだろう。」
というところから分からなくなることがあります。
だから僕のケアでは、何か反応を見せてもらうことを目的にはしていません。
感じようと頑張らなくてもいい。
僕に合わせなくてもいい。
「よく分からない」も、そのままで大丈夫です。
人に見せる反応ではなく、自分が実際に何を感じているのかを確認する。
その時間を大切にしています。
我慢してしまう背景については、セックスが気持ちよくないのに我慢する女性へ|「私が悪い」と思ってしまう心理とはも参考にしてください。
「普通だと思っていたこと」が自分には合っていなかった場合もあります
「セックスってこういうものだと思っていました。」
そう話される女性もいます。
映像作品や過去のパートナーのやり方を見て、強い刺激や速い刺激が「普通」だと思っていた。
痛くても、
「私が感じにくいから。」
「女性はこれくらい我慢するものなのかな。」
と思っていた。
でも、性的な心地よさは刺激が強ければ強いほど大きくなるわけではありません。
クリトリスなど外側の刺激でも、膣内など中の刺激でも、感じ方には個人差があります。
大切なのは、世間の「普通」ではなく、
自分の身体にとって、何が心地よく、何が苦手なのかです。
これまで経験してきた方法が自分に合っていなかっただけなのに、
「私は感じない女性なんだ。」
と思い込んでいることもあります。
だから、新しいことをたくさんすることよりも、一度自分の感覚を丁寧に確かめてみることが役立つ場合があります。
過去を消すのではなく「今までとは違う経験」を増やしていく
この記事で一番伝えたいのはここです。
過去の経験が今へ影響しているとしても、
「過去を克服しなければ感じられない。」
「昔のことを全部思い出して整理しなければいけない。」
ということではありません。
僕が施術で大切にしているのも、過去を詳しく聞き出すことではありません。
見るのは、今です。
今、この触れ方はどう感じるのか。
今、身体に力が入っていないか。
今、嫌だと言えるか。
今、止めてほしいときに止めてもらえると感じられるか。
今、心地よい・苦手・よく分からないを自分で選べるか。
そうした経験です。
過去の痛みや怖さを「なかったこと」にするのではありません。
「今回は違った」「今回は自分で選べた」「今回は安心していられた」という経験を増やしていく。
その中で、以前とは違う身体の反応や感覚に気づく女性もいます。
もちろん、「安心できる経験を積めば必ず性的な問題が改善する」とは言えません。
過去の性的なトラウマと現在の性的な問題には関連が報告されていますが、影響の現れ方や必要な支援は人によって異なります。
強い恐怖、フラッシュバック、解離のような感覚、過去の出来事によるつらさが続いている場合は、心理職や医療機関など、トラウマについて適切に対応できる専門家へ相談することも大切です。
過去の経験と感じにくさについてよくある質問
Q1.昔のセックスが痛かっただけでも、今に影響することがありますか?
可能性はあります。
「また痛くなるかもしれない」という予測が、警戒や緊張につながる場合があります。
ただし、過去に痛みがあった女性すべてに同じ影響が残るわけではありません。
Q2.今のパートナーは優しいのに、身体に力が入ります
頭で「安全」と理解していることと、その場ですぐ緊張がなくなることは同じではありません。
また、痛みなど身体的な原因が関係していることもあるため、続く場合には婦人科へ相談することも考えてください。
Q3.過去のことを詳しく話さないと改善できませんか?
必ずしもそうではありません。
過去を無理に思い出したり、詳しく話したりする必要はありません。
必要な支援は人によって違います。
まず「今どんな場面で不安や緊張が起きるのか」を整理する方法もあります。
Q4.感じるふりをしてきたせいで、本当に感じられなくなったのでしょうか?
「演技をしたから身体が感じなくなった」と単純には言えません。
ただ、長い間自分の感覚より相手の反応を優先していると、「私は実際には何を感じているのか」に注意を向けにくくなることがあります。
Q5.新しい安心できる経験を重ねれば変わりますか?
安心できる状況で自分の意思が尊重されることは大切です。
その中で以前とは違う感覚に気づく方もいます。
ただし、特定の経験を重ねれば必ず変化するという保証ではありません。
Q6.過去の性的な経験を思い出すと強く怖くなります
無理に一人で向き合う必要はありません。
強い恐怖やフラッシュバック、日常生活への影響がある場合には、トラウマを扱える心理職や医療機関へ相談する選択肢があります。
まとめ|身体が「覚えている」と感じるときに考えてほしいこと
過去の経験が、今のセックスへ影響することはあります。
初めて痛かったこと。
傷つくことを言われたこと。
断れなかったこと。
我慢してきたこと。
感じているふりを続けてきたこと。
そうした経験から、似た状況で、
「また痛いかもしれない。」
「また我慢しなければいけないかもしれない。」
と警戒することがあります。
それを日常的な言葉で「身体が覚えている」と表現することもできます。
ただ、大切なのは、過去が今の身体を永遠に決めるわけではないということです。
過去を無理に消す必要もありません。
まず、
「今回は止められた。」
「今回は自分で選べた。」
「これは心地いいと分かった。」
「分からないと言っても大丈夫だった。」
そんな、今までとは違う経験を自分のペースで増やしていく。
僕はそこからでもいいと思っています。
パートナーとの中では難しいと感じる方へ
過去の経験があると、パートナーとのセックスの中で新しい感覚を探すこと自体が難しい場合があります。
相手をがっかりさせたくない。
途中で止めるのが申し訳ない。
また痛かったら怖い。
何を心地いいと感じるのか、自分でも分からない。
そんな女性のために、僕は浜松で女性専用のオイルケアを行っています。
過去の出来事を無理に聞き出すことはありません。
僕が大切にしているのは、今、その人が安心して選べることです。
普通のオイルケアだけでも大丈夫です。
嫌なことはしません。
約束していないことを勝手に進めることもありません。
途中で「ここまでにしたい」と思ったら、それも大切な答えです。
そのうえで、ご本人が身体の感覚についてもう少し知ってみたいと思った場合には、希望する範囲で一緒に整理していきます。
僕との時間で過去を消すことが目的ではありません。
「自分の身体は、自分で選んでいい」と感じられる時間をつくること。
そして、心地いい・苦手・よく分からないという自分の感覚を、少しずつ知っていくこと。
そこを大切にしています。
現在は無償で行っています。
一人では整理しにくいと感じたときは、大翔についても読んでいただき、話してみてもいいと思えたときにお問い合わせ・ご相談からご連絡ください。
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