「子どもが生まれてから、セックスをしなくなった。」
出産直後は身体も回復していなかったし、夜中の授乳もあった。
その頃は、セックスをしないことを特に不思議だとは思わなかった。
でも、子どもが少し大きくなっても、夫婦の性生活は戻らない。
気づけば、最後にセックスしたのがいつだったのかも思い出せない。
そんな女性もいると思います。
産後のセックスレスというと、出産による傷やホルモンの変化が原因だと思われやすいかもしれません。
確かに、出産直後には身体的な理由があります。
でも、産後しばらく経ってからもセックスレスが続く理由は、それだけではありません。
子どもが生まれると、夫婦の時間の使い方、生活の優先順位、互いの役割、相手に対する感情まで変わります。
産後セックスレスは、性欲が突然なくなるというより、これまでセックスがあった場所に育児や家事が入り、夫婦の性生活が少しずつ押し出されていくことで始まる場合があります。
この記事では、子どもが生まれた後に、なぜ夫婦のセックスがなくなっていくのかを整理します。
産後に限らず夫とセックスしたくない理由を知りたい方は、夫とセックスしたくないのはなぜ?嫌いじゃないのにしたくない女性へをご覧ください。
産後のセックスレスは、出産直後だけの問題ではありません
「産後」と聞くと、出産から数週間や数か月の時期を想像するかもしれません。
しかし、女性がセックスレスについて悩み始めるのは、必ずしも出産直後とは限りません。
出産直後は、
「今は身体が大変だから。」
「赤ちゃんが夜に何度も起きるから。」
と、セックスがない理由が分かりやすくあります。
そのため、夫婦のどちらも深刻な問題とは考えないことがあります。
ところが、その生活が半年、一年と続くうちに、セックスをしないことが夫婦の日常になっていきます。
子どもが夜に眠るようになっても再開しない。
夫婦二人になる時間があっても、以前のような雰囲気にならない。
どちらからも誘わないまま、さらに時間が過ぎていく。
この段階になると、出産時の傷が回復しているかどうかだけでは説明できません。
出産を境に変わった夫婦の生活が、そのまま新しい日常として固定されている可能性があります。
セックスをしていた時間が育児と家事に置き換わります
子どもが生まれる前は、夜になれば夫婦二人で過ごす時間があったかもしれません。
夕食を食べて、一緒にテレビを見る。
同じ時間に寝室へ行く。
休日には朝をゆっくり過ごす。
そんな何気ない時間の中に、セックスが始まるきっかけがありました。
子どもが生まれると、その時間は大きく変わります。
夕食後は片づけ、入浴、授乳、歯磨き、寝かしつけ。
子どもがようやく眠った後には、残った家事がある。
全部終わる頃には、セックスよりも少しでも長く眠りたい。
同じ寝室に子どもがいれば、声や物音も気になります。
子どもが途中で起きるかもしれないと思えば、落ち着いて二人の時間を過ごすことも難しくなります。
誰かがはっきり拒否したわけではありません。
夫婦仲が悪くなったわけでもありません。
ただ、以前セックスをしていた時間と場所が、子育てによってなくなっているんです。
この場合、性欲の有無だけを考えても原因は見つかりません。
生活の中に、夫婦が性的な関係へ移れる時間が残っているかを見る必要があります。
子ども中心の生活では、自分のことが後回しになります
子どもが小さい時期は、自分の都合だけで生活できません。
食事も入浴も睡眠も、子どもの状態に合わせることになります。
トイレにゆっくり入る時間さえない日もあります。
一日中、誰かの要求に応え続けていると、夜になってからさらに夫の要求に応えたいとは思えないことがあります。
自分の身体が、自分のためにあるという感覚も薄くなっていきます。
赤ちゃんを抱く。
授乳する。
泣いたらあやす。
子どもに触れられ続ける。
その後で夫から身体を求められても、
「もう今日は誰にも触られたくない。」
と感じる女性もいます。
これは、夫への愛情がないからとは限りません。
自分の時間も身体も一日中誰かのために使い、もう残っていない状態です。
セックスをする時間がないだけでなく、自分を一人の女性として意識する時間そのものがなくなっていることがあります。
育児や家事をしない夫とはセックスしたくないことがあります
産後のセックスレスには、時間不足だけでなく、夫に対する感情の変化が関係することもあります。
妻は夜中も赤ちゃんの世話をしている。
朝になれば家事をして、昼間も子どもから離れられない。
それなのに夫は、仕事から帰るとスマートフォンを見ている。
休日も自分の予定を優先する。
妻が言わなければ動かない。
少し手伝っただけで、十分に育児をしているつもりになっている。
そんな状態が続けば、妻の中には不満が積み重なります。
夫からセックスに誘われても、
「私はあなたの世話までしているのに。」
「自分のしたいことだけ求めてくる。」
と感じることがあります。
ここで起きているのは、単純な性欲の低下ではありません。
日中に対等なパートナーとして扱われていないと感じているため、夜だけ性的な相手として求められることに抵抗が出ているんです。
夫から見れば、
「セックスを断られた。」
という出来事かもしれません。
妻から見れば、
「私の負担には気づかないのに、自分の欲求だけは伝えてくる。」
という出来事になっています。
セックスをしたくない理由が、寝室ではなく、その前の日常生活にあるということです。
この状態を、雰囲気づくりや誘い方だけで変えることは難しいと思います。
夫婦が「男女」より「父親と母親」になります
子どもが生まれると、夫婦は父親と母親になります。
会話も、
「オムツ替えた?」
「明日の持ち物は?」
「病院は何時から?」
「保育園のお迎えをお願い。」
といった子どもの話が中心になります。
二人で出かけても、話題は子どものこと。
お互いを名前ではなく、「パパ」「ママ」と呼ぶようになる夫婦もいます。
父親と母親として協力できることは、家族にとって大切です。
ただ、その役割だけが強くなると、相手を一人の男性、一人の女性として見る時間が減ることがあります。
夫婦仲は悪くない。
家族としてはうまくいっている。
それでも、恋人だった頃のような関係には戻れない。
これは、愛情がなくなったというより、二人の関係の中で親としての役割が大きくなり、男女として向き合う場面がなくなった状態です。
夫婦仲は良いのに性生活だけがない場合については、夫婦仲は良いのにセックスレスになるのはなぜ?愛情と性欲の違いで詳しく扱っています。
出産後の身体の変化が最初のきっかけになることもあります
産後セックスレスを生活や夫婦関係だけで説明することもできません。
出産後は、身体が妊娠前と同じ状態にすぐ戻るわけではありません。
会陰切開や裂傷の傷。
帝王切開の傷。
骨盤周辺の違和感。
授乳中のホルモン変化による乾燥。
寝不足や疲労。
自分の身体が以前と違って見えることへの戸惑い。
こうした変化によって、セックスを再開することが怖くなる女性もいます。
一度再開して痛かった場合、
「また痛いかもしれない。」
と思い、次のセックスを避けるようになることもあります。
夫は、出産から何か月か経ったことで「もう身体は元に戻った」と考えていても、女性側の感覚は違うかもしれません。
公的医療情報でも、産後にセックスを再開する時期に一律の決まりはなく、痛み、疲労、乾燥などがある場合は急がないことが案内されています。
痛みが続く、出血する、強い乾燥がある、傷に違和感がある場合は、我慢して続けず婦人科などへ相談してください。
身体的な問題を「気持ちの問題」だけで解決しようとしないことも大切です。
立ち会い出産を見た夫の気持ちが変わることはあるのでしょうか
出産後、夫から求められなくなった女性の中には、
「立ち会い出産をしたから、夫は私を女性として見られなくなったのかな。」
と考える人もいます。
出産時の妻の姿や医療処置を目の前で見たことで、夫が強い衝撃を受ける可能性はあります。
妻が苦しむ姿を見て、
「身体に触れたら傷つけてしまうのではないか。」
と不安になる男性もいます。
また、妻の身体を性的なものより、出産や授乳をする身体として意識するようになることも考えられます。
ただし、
立ち会い出産をした男性の多くが妻に幻滅し、それが産後セックスレスの最大の原因になるとは確認されていません。
出産に立ち会ったことだけで原因を決めると、生活時間、育児負担、身体の痛み、夫婦の会話など、ほかの変化を見落とす可能性があります。
「立ち会い出産で冷めたに違いない」と結論を出すのではなく、出産後に夫の態度がどのように変わったのかを分けて見る必要があります。
夫が求めなくなった理由を全体から考えたい方は、旦那が求めてこないのはなぜ?セックスレスになる夫の心理と理由をご覧ください。
一度止まった性生活は、きっかけがないまま止まり続けます
出産直後は、セックスをしない明確な理由があります。
身体の回復を待つ。
赤ちゃんのお世話を優先する。
睡眠時間を確保する。
問題は、その理由が少なくなった後です。
長くセックスをしていないと、以前は自然にできていた誘い方が分からなくなります。
夫は、
「また断られるかもしれない。」
と思って誘わなくなる。
妻は、
「夫はもう私を求めていない。」
と思って自分から動けなくなる。
どちらも相手を拒絶したいわけではないのに、何もしない状態が続きます。
そして、時間がたつほどセックスについて話すこと自体が重くなります。
この場合、最初の原因は産後の身体や育児だったとしても、現在続いている原因は、二人とも再開のきっかけを失っていることかもしれません。
自分たちの産後セックスレスは、どこから始まったのか
産後セックスレスを一つの原因で説明する必要はありません。
まず、二人の性生活が変わった時期を振り返ってみてください。
- 出産後の痛みや乾燥から始まった
- 夜泣きや授乳によって時間がなくなった
- 子どもと同じ部屋で寝るようになった
- 夫が育児をしないことへの不満が増えた
- 母親として過ごすうち、自分の性欲が分からなくなった
- 何度か断った後、夫が誘わなくなった
- 夫が出産後から距離を取るようになった
- 二人とも特に拒否せず、自然にしなくなった
始まり方が違えば、必要なことも変わります。
時間と場所がないなら、性欲を高める前に夫婦二人になれる条件を考える必要があります。
夫への不満が中心なら、セックスより先に育児や家事の負担を見直す必要があります。
痛みがあるなら、我慢して再開するのではなく身体への対応が先です。
夫が避けているなら、理由を決めつけず本人の気持ちを確認する必要があります。
「産後だから仕方がない」でまとめず、何が始まりで、今は何が続けているのかを分けて考えることが大切です。
元の回数に戻すことだけが解決ではありません
産前と同じ回数に戻せば、産後セックスレスが解消したように見えるかもしれません。
でも、生活は出産前と同じではありません。
子どもがいる中で、以前と同じ時間、同じ流れ、同じ気持ちを再現しようとしても難しいことがあります。
必要なのは、過去の性生活をそのまま取り戻すことではなく、現在の生活に合う夫婦の関係を考えることです。
セックスをするのか。
セックス以外の触れ合いから始めるのか。
二人の時間をどのように作るのか。
育児や家事をどう分担するのか。
身体の不調を先に相談するのか。
それぞれの夫婦で、最初に見直す場所は違います。
セックスレスについて夫へどう伝えればよいか迷う方は、セックスレスを夫と話し合うには?責めずに気持ちを伝える方法も参考にしてください。
産後セックスレスについてよくある疑問
Q1.産後はいつからセックスを再開するものですか?
すべての女性に共通する時期はありません。
出産方法、傷の状態、出血、痛み、疲労、気持ちなどによって異なります。
産後健診が終わったことは、必ずセックスを再開しなければならないという意味ではありません。
身体に不安がある場合は医療機関へ確認してください。
Q2.授乳中は性欲が低下することがありますか?
授乳中のホルモン変化、睡眠不足、疲労などが重なり、性欲が起こりにくくなることはあります。
また、乾燥によってセックスが痛くなり、次第に避けたくなる場合もあります。
ただし、授乳中の女性が全員同じように性欲を失うわけではありません。
Q3.育児をしない夫とセックスしたくないのはおかしいですか?
おかしいとは限りません。
日常生活で不公平感や怒りが積み重なっているときに、夫へ性的な気持ちを向けにくくなることはあります。
この場合は誘い方だけを変えるのではなく、育児や家事を含む関係全体を見る必要があります。
Q4.立ち会い出産をしたことが原因でしょうか?
可能性の一つではありますが、立ち会い出産だけで原因を断定することはできません。
出産後の生活、身体の状態、育児負担、夫婦の時間、夫側の不安なども含めて考える必要があります。
Q5.子どもと一緒に寝ている限り、セックスレスは解消できませんか?
同じ寝室で眠ることは大きな制約になりますが、それだけで決まるわけではありません。
夫婦二人になれる時間や場所を作れるか、互いに性的な関係を望んでいるかによっても異なります。
まず、現在の生活で何が一番大きな障害になっているのかを確認してみてください。
まとめ|子どもが生まれて、夫婦の生活からセックスが押し出されることがあります
産後セックスレスは、出産による身体の変化だけで起こるものではありません。
子どもが生まれることで、
二人きりの時間がなくなる。
寝かしつけや家事で夜が終わる。
自分のことが後回しになる。
育児をしない夫への不満が積み重なる。
夫婦が男女より父親と母親になる。
痛みや乾燥をきっかけに性生活が止まる。
一度止まった後、再開のきっかけを失う。
こうした変化が重なって、いつの間にかセックスのない生活が夫婦の日常になることがあります。
だから、
「産後だから性欲がなくなった。」
「立ち会い出産で夫が冷めた。」
と、一つの原因だけで決める必要はありません。
何がきっかけで性生活が止まり、現在は何が再開を難しくしているのか。
この二つを分けて考えてみてください。
産後の身体が最初のきっかけでも、今は時間や夫への不満が原因になっているかもしれません。
反対に、生活に余裕が戻っていても、痛かった経験や夫側の戸惑いが残っていることもあります。
自分たちの夫婦に起きた変化が分かれば、何から考えればよいのかも見えやすくなります。
自分が本当は何につらさを感じているのか、一人で整理することが難しいときは、お問い合わせ・ご相談からお話を聞かせてください。
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